関塾ひらく「インタビュー」 各界で活躍する著名人に教育や経営をテーマとしたお話を伺いました。
株式会社幻冬舎 代表取締役社長 見城 徹 氏
常に困難な道を選び 七転八倒の先に圧倒的結果を得る
 
Profile 名古屋商科大学野球部 監督 中村 順司氏 1950年静岡県生まれ、慶応義塾大学法学部卒業。75年に(株)角川 書店(現KADOKAWA)に入社「。野性時代「」月刊カドカワ」に携わり、 多くのヒット作を生み出し、41歳にして取締役編集部長に昇進。そ の後、93年に幻冬舎を設立。著書に『編集者という病い『』異端者の快 楽』、藤田晋氏との共著『憂鬱でなければ、仕事じゃない』、林真理子氏 との共著『過剰な二人』などがある。最新刊は『たった一人の熱狂』。


『たった一人の熱狂』増補完全版
『たった一人の熱狂』増補完全版“奇跡のSNS”といわれた「755」で自ら発信し たコメントをもとに、仕事に熱狂し、圧倒的結 果を出すための55の言葉を収録した『たった 一人の熱狂』。人生観、編集者そして経営者と しての哲学からプライベートまで、見城氏の 生き様に触れる一冊。


角川書店の凄腕編集者としてヒット作を生み出し、幻冬舎創業後は経営者として常識にとらわれない、無謀ともいえる 数々の挑戦で出版界に風穴を開けてきた見城徹氏。不可能を可能にしてきた圧倒的努力?の正体とは?

■ あえて「不可能」に挑戦する

  子どもの頃は、自意識過剰で劣等感 の塊、周囲になじめず、今でいういじめ られっ子だった。その孤独感と寂しさか ら救ってくれたのが本。読書が僕とい う人格を形成した。だから、出版業界を 選んだのは必然だったんですよ。それに、 どんな辛いことも、好きな世界でなら苦 にならないと思ったし。大学卒業後は廣 済堂出版に入社しましたが、文芸の編 集者になりたくて、アルバイトとして角
川書店にもぐりこんだんです。
 
角川書店時代 (@下記参照)は、周囲 が「不可能だ」という仕事をあえて選ん だ。だって、誰にもできないことをする 方が断然おもしろいし、困難であればあ るほど大きな結果が得られる。現状を 覆すことに快楽を覚えないと。だから、 「角川では書かない」という作家 (A) と 仕事がしたいと思った。
  その一人が五木寛之さん。五木さんと 仕事がしたくて、作品はもちろん、イン タビューから小さなコラムまで、あらゆ
る記事を調べ尽くし、感想をしたためて 手紙を送る。手紙は 25 通に及びました。 当然、ただ「よかったです」ではダメ。作 家にとって新しい発見と刺激になるよ うな内容でなければ。どこにどんな言 葉を投げかければ響くのか。何が心に 刺さるのか。刺さらなければ人は動かな い。作品に惚れ込んで、深く理解し、とこ とん相手のことをイメージした上で、次 の作品についてのテーマを提示する。頭 で考えるんじゃない、自然に身体が動く んです「。この人となら、次のステージに上がれる」と思ってもらえる、つまり自 分も相手も満足できる“企み”を続ける。 何百人という表現者たちと常に全力で 格闘し、その圧倒的努力の結果として、 己の価値が上がるんです。

■肉を切り血を流し 七転八倒してこそ仕事

  幻冬舎 (B)から、郷ひろみの『ダディ』 (C)を出版したのは、彼と付き合い始め てから 10 年後。彼に本を出してもらう なら、めちゃくちゃ売れるものにしよう という企みがあったから、 10 年間ずっと 機会を待ち続けました。ある日「、自分は したくないが離婚を迫られている」とい う告白を受けたとき「、これだ!」と思っ た。離婚までの2人のすべてが書かれた 本を出そうと。記者会見はなし。テレビ やスポーツ紙でなく、単行本が離婚をス クープするわけです。発売日まで所属
事務所にさえ内密に進め、取次や書店 にはタイトルも著者名も伏せる。しかも 前代未聞の初版 50 万部。それでも不安 だったから、二人が離婚届を提出するそ の日に発売するという仕掛けをしたわ けです。
 
こんなことは、深い信頼関係がない とできない。心に決めた人とは、まずは 人間関係を築く。身をよじり、肉を切り、 内臓をこすり合わせ、血を流さないと関 係は築けない。トイレでも食事中でも、 常に考え続けて、悪戦苦闘して七転八 倒する。それが仕事なんだよ。

■ 自己検証ができない人間に 成長はない

  若いうちに必要とされるのは能力だ ろうけど、ある程度の地位に就くために 必要なのは人間力。人間力の基礎は「、自 己検証」ですよ。自分におぼれたり、困難 なことを避けたりしていては、人間力は 鍛えられない。
  社会に出てから役立つという意味で も、今の教育に必要なのは自己検証の 大切さを教えることだと思います。偏差 値の高い大学に価値はないけれど、偏差 値が高い大学に受かった人にはそれな りに意味がある。なぜなら、受験競争を 勝ち抜けるのは、自分の回答に対して不 安を感じたり疑ったりできる人、つまり 自己検証ができる人間だから。自己検 証、その次に自己嫌悪、自己否定ができ ない人間に成長はないですよ。
  社員の人材育成なんて考えたことも
ない。そんな表面的な言葉で語れるよう なものじゃないでしょう。みんな自分の 人生を生きていて、人の精神という生モ ノを商品にしているんだから。僕は小さ なことにいつもくよくよして、後ろ髪を 引かれ、小石につまづいて生きています。 小さなことに真心を込められない人間 に、大きな仕事はできないと思っている。 だから、あれっ?と思う言動があったら 膝詰めで話すよ。それで態度を改めた り、生き方を見つめ直したりすることが、 商品を生み出す力にもなる。

■ 死へのむなしさを忘れる ために熱狂する

 インターネットの出現もあって、出版 はこの 25 年間ずっと斜陽産業。でも、出 版の利益がたとえ0になったとしても、 ほかの事業がすべて黒字で出版事業だ けが赤字でも、出版事業はメイン事業 として絶対に続ける。そのために子会社 をいくつか立ち上げ、きちんと利益を生 むプラットフォームづくりを着々と進 めています。
  なぜ、いつまでも仕事に熱狂し続ける ことができるか? 何かに熱狂していな いとむなしいからですよ。人は必ず死ぬ。 立ち止まったらむなしくなる、切なくな る。いずれ死ぬというむなしさを忘れる ために何かに熱狂していたい。僕にとっ て熱狂する=圧倒的結果が出ること。一 つのことで大きな結果が出たら、それを 捨てて0に戻す。そうやってこれからも、 次々と熱狂していたいと思っています。


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